「喫煙者は採用しない」は就職差別? |
社員の健康のためにも、在籍している喫煙者の社員については禁煙を支援し、喫煙者は採用しないように考えています。採用についてこのような制限を設けることは問題ないでしょうか。
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「喫煙者は採用しない」と掲げることは問題ありませんが、プライベートでの喫煙が発覚した場合に強硬な対応をとることは控えたほうがよいでしょう。
◆◆就職差別になる?◆◆
事業所には「採用の自由」が広く認められています。どのような人を雇うかは原則として自由です。
ただし、何もかも自由ではなく法律によって制限されているものもあります。性別や年齢による差別、障害者差別などです。
このほか、法律で禁止されているわけではありませんが、厚生労働省が「就職差別の恐れがある」として把握すること事態を控えるよう求めている事項もあります。
※把握するのを控えるべき事項
□本人に責任のない事項 出生地、家族に関すること、住宅環境、家庭環境など
□思想信条にかかわること 宗教、支持政党、労働組合に関すること、購読新聞など
◆◆喫煙が発覚したら?◆◆
喫煙者でないことを確認して採用したにもかかわらず、実はプライベートで喫煙していることが発覚した場合、内定を取り消すことはできるのでしょうか?
採用条件として認識していたのに喫煙者であることを隠していたのですから「虚偽の申告」とも考えられますが、私生活上のことであるため、内定の取り消しが認められるのは難しいと思います。
では、入社後も喫煙させないために誓約書を書かせることはできるでしょうか?
入社時に「喫煙しない」と誓約書に書かせることは違法ではありません。ただし、誓約書の内容が守られなかったとしても、解雇や減給など懲戒処分を行うのはやりすぎです。禁煙の職場でタバコを吸ったならともかく、プライベートにおける喫煙にまで懲戒処分を行うことは問題があるでしょう。
◆◆行き過ぎない範囲で◆◆
「喫煙者は採用しない」とする会社は近年増えています。
たいていは申告ベースで入社後に喫煙がわかっても処分はしないなど慎重な対応になっています。プライベートな時間の喫煙に対してまで、あまり強硬な対応をとるとトラブルに発展する恐れがあるので注意が必要です。
~情報源~ 雇用保険に関する業務取扱要綱 (令和元年5月1日以降) 厚生労働省
社会保険労務士 川﨑美嘉子