働き方改革でこう変ります! |
◆◆年5日を時季指定◆◆
日本の年休消化率は50%未満を推移していて、国際的にも低い水準です。政府は2020年までにこれを70%にすると目標を掲げていますがこのままでは現実は難しいと言われています。
年休を消化しない理由として多いのは「休める空気ではない」「同僚に迷惑がかかる」「上司や同僚が消化しないから」というものです。
そこで今回法律が改正され、年休のうち5日分について使用者側から時季を指定して与えなければならないことになりました。これは使用者の義務です。「年休は5日以上消化するようにしてください」などと従業員に声をかけるだけでは不十分で「あなたは○月○日に消化してください」と労働者ごとに時季を指定しなければなりません。
◆◆年休10日以上の人が対象◆◆
この制度の対象者は年休を10日以上付与された労働者です。管理監督者も含まれます。
フルタイムの人であれば入社6ヶ月で出勤率が8割以上の場合に10日付与され、対象となります。パートタイマーの
場合は、入社当初は付与日が10日以内で、対象にならない人でも勤務年数が長くなると10日以上付与され対象にな
る場合があります。
パートタイマーに年休を与える習慣がなかった事業主さんは今後注意が必要です。
「5日分を時季指定して与える義務」に違反した場合は30万円以下の罰金が定められています。
◆◆年休管理簿を作成◆◆
基準日(年休が発生した日) から1年以内に、労働者ごとに時季を定めなければなりません。
対象者は誰なのか、いつ取得させるのか、実際にいつ取得できたかなど、労働者一人ひとりの年休の取得状況を把握しなければなりません。そのため年休の管理簿を作成し、3年間保存することも義務付けられています。
◆◆一方的に時季を決めてもいい?◆◆
労働者は、たとえば年休が10日ある場合でも、子供の学校行事に4日、旅行に 4日、旅行に5日消化したいなどと希望があるかもしれません。
省令では、使用者は時季指定を行うにあたっては、労働者からの意見を聴取 見を聴取して、その意思を尊重するよう努めることとしています。
一人ひとりの時季を指定するのも大変な手間ですから本来は自発的
に取得してもらう方が良いはずです。そのためには、取得しづらい状
況を変えていく必要があるでしょう。
時間単位の年休の導入なども、ひとつの方策になると思います。
社会保険労務士 川﨑美嘉子