焦りは禁物! 不利益変更は正しい手順で
経営環境の変化などにより労働条件の変更を余儀なくされることかあります。
労働者にとって有利な変更なら問題はないのですが、不利益に変更するときは注意が必要です。今年2月には、勤務先の合併により退職金を大幅に減らす規定変更が行われたのは無効という最高裁の判決が出て注目を集めました。
不利益変更に該当するケース、不利益変更を行う際の注意点をみていきましょう。
労働条件の不利益変更には、原則として使用者が一方的に行うことはできません。
不利益へ変更には、賃下げ、退職金の減額、諸手当の廃止などがあります。こうしたわかりやすいもののほかにも、不利益変更と気づきにくいケースもあります。
●評価制度・賃金制度を変更する。
例) 年齢給を廃止して成果給に ⇒ 手当が増える人も入れは減る人もいる
●手当の内容を変更する。
例) 配偶者手当を廃止する代わりに保育手当を支給する
⇒ 手当が増える人も入れは減る人もいる
●65歳まで雇用する代わりに55歳からの賃金をカットする
●合併により合併後の会社の賃金制度を適用
●パートは○時間までしか働けないことにする(社会保険未加入の違法状態を避けるために)
上記のように、その変更によって有利になる人もいれば不利になる人もいるケース、○○を減らす代わりに△△を増やすといったケースなど・・・
これらもすべて不利益変更になります。
同意が原則
労働契約は、「契約」です。
契約の内容を変更するには、相手方の同意が必要というのが大原則です。
労働契約法でも、労働条件を変更するときは原則として同意が必要だとしています。
不利益変更を行う際、会社側はなるだけ早く同意を得たいと焦りがちですが、場合によっては同意と認められないこともありますので注意が必要です。
同意をとる場合に注意すること
□ 変更内容を十分に説明する
□脅しによる説明をしない
□十分な検討期間を与える
簡単に済ませようとせず、誠実に説明し、十分に納得してもらうことが大切です。
説明する内容も、会社にとって必要なだけでなく、働く人にとってどの程度の不利益となる可能性があるかといった点など具体的に説明しておくことが大切です。また同意をとるだけでなく、就業規則の変更も忘れずに行っておきましょう。