本人が申請しないから有給休暇を与えていない、これって違法?

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こんにちは。スタッフの神田です。

最近は暖かかったり寒かったり、お天気が安定せず、着る服に悩んでしまいますね。


今回は、年次有給についてのご相談を紹介いたします。

 

【ご相談】

有給休暇を1年間まったく取得していない社員が何人かいます。
本人が申請してこないので仕方ないと思うのですが、それでも違法になると聞きました。
どういうことですか?

 

【ご回答】

違法といわれてしまうと、ちょっとびっくりしてしまいますよね。
社員さんの状況や希望によって、違法になる場合とならない場合があります。


年次有給休暇(以下「年休」といいます)のうち、5日分については確実に取得させる必要があり、社員さんが自主的に取得していないのであれば、
使用者(経営者や管理者)側から「○月○日に取得しなさい」と時季を指定して取得させる義務があります。
年休を年5日取得できなかった労働者が1人でもいる場合は法違反となります。


10日以上付与した人が対象
時季指定して年休取得させる必要があるのは、年休の付与日数が年10日以上の労働者です。正社員やフルタイムの契約社員はもちろんですが、
パートタイマーであっても勤続年数によっては10日以上付与されていることがありますので、確認をしておきましょう。


年5日分を確実に取得させる義務
時季指定義務とは、年休を10日以上保有している労働者に対して、年休のうち5日分については使用者側から時季を指定して取得させなければならないというものです。
これは「年に5日以上消化するようにしてね」などと声掛けするだけでは不十分で、「あなたは○月○日に取得してください」と、労働者に時季も指定して
確実に取得させなければなりません。
時季を指定するにあたっては、労働者本人の希望に配慮するよう求められています。


年休管理簿を作成して3年保存
時季指定義務を確実に果たしていくために、基準日(年休が発生した日)から1年以内に、労働者ごとに取得時季を定めなければなりません。
対象者は誰なのか、いつ取得させるか、実際にいつ取得できたかなど、労働者一人ひとりの年休の取得状況を把握しなければなりません。
そのため年休の管理簿を作成し、3年間保存することも義務付けられています。


労働者がすでに消化した時は
労働者が5日分以上取得したのであれば、もう時季指定する必要はありません。
逆に、法律上の義務がなくなったのに「○月○日に取得しなさい」と命じることはできません。


半日単位、時間単位は?
年休は原則として1日単位で与えるものですが、本人が希望し使用者が認めるのであれば、半日(0.5日)単位の取得も可能です。
時季指定においても「本人が希望する場合」は半日単位でも差し支えないとされています。
時間単位の取得については、労働者が希望したとしても認められていません。



年10日以上の年休を保有している社員さんが、自主的に年休を申請してこない場合に関しては、使用者(経営者や管理者)側から
時季を指定して年休を取得させる義務が生じます。(時季指定義務)

これをしないと、違法となってしまします。

社員さんが保有している年休が年10日以下なら、この範囲ではありません。



「年休管理簿」をしっかり作成して、確認をしておきましょう。


分からないことがありば、私たちがお力になりますので、お気軽にご相談くださいね。

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