労務ひとこと

実際の賃金が求人票より低い・・・

うその求人に罰則を検討

「面接に行ったら求人票より低い賃金を提示された」「正社員と聞いて応募したのに非正規雇用の形態だった」「雇用保険・社会保険に加入ありとなっていたのに実際はなかった」・・・

厚生労働省のまとめによると、ハローワークの求人票の内容と実際の労働条件が異なっていたという苦情や相談が平成26年度で1万2千件も寄せられているといいます。

現在の法律では、企業が自社サイトなどて直接募集し、採用する場合には虚偽の条件に対する罰則があります。IMG_6554

しかし、ハローワークや民間の転職支援サービス、求人誌などを通じて虚偽求人を行った場合については行政指導しかできないのです。罰則がないため、先にあげたようなトラブルが後をたたないといいます。そこで、厚生労働省は虚偽の条件で求人を出した企業に対して、罰則を設けるよう職業安定法の改正に向けて検討を始めました。有識者検討会で夏までに意見をまとめ必要な法改正を目指すとしています。

 

国は、ブラック企業対策を次々と打ち出しています。

ブラック企業とまでは行かなくても、応募者集めるために少しでも条件をよく見せたいという会社は多いのではないでしょうか。

詳細はこれからですが、どのような内容に対してどの程度の罰則が設けられるのか

注目されるところです。

 

 

労働契約を結ぶと必然的に付いてくる義務

社 長 最近パワハラがよく問題になってるけど、パワハラって違法なことなんですか?

社労士   使用者には「職場環境配慮義務」があります。これは、働きやすい職場環境を保たなけれはならないというものでパワハラの防止もここに含まれます

社 長  それは労働基準法で決まっているんですか?

社労士   いいえ、労働基準法で定められているわけはありません。労働契約を結ぶと、必然   的に付いてくる「労働契約の付随義務」と言われています。付随義務には民法などで定められているものと、過去の判例から確立されたものがあります。

社長  違反したらどうなるんてすか?罰金があるんですか?

社労士  労働基準監督官が来て指導されるとか罰金を支払わされるといったことはありませ   ん。ただ、社員から裁判を起こされたときは、義務を怠ったということで「債務不履行」となり義務を履行するよう請求されたり損害賠償を請求されることがあります。

社長 会社ばかり義務がたくさんあってたいへんですね・・・・

社労士  付随義務は労働者にもあるんですよ。たとえば下記のようなものです。

使用者側の付随義務IMG_6493

①信義誠実の原則

 相手の信頼を裏切らないように行動しなけれはならない。

②安全配慮義務

 労働者の安全と健康を守らなければならない

③職場環境配慮義務

 労働者が安全で適正な職場環境で働けるよう配      慮しなければならない

④使用者責任

 労働者が業務上第三者に損害を加えた場合、それを賠償しなけれはならない

 

労働者側の付随義務IMG_6586

①信義誠実の原則

 相手の信頼を裏切らないよう行動しなければな        らない

②職務専念義務

 職務中は職務に専念しなければならない

③企業秩序遵守の義務

 職場の秩序を乱すような行動をしてはならない

④秘密保持義務

 業務上知り得た情報を漏らしてはならない

⑤競業避止義務

 在職中に使用者の不利益になるような競業行為(兼業など)をしてはならない

残業で24時間を超えたら翌日の勤務になる?

労働基準法の中でも「労働時間」は奥の深いテーマです。

知っているようで正確は知らないこと、誤解していることが多いのではないでしょうか。

たとえば、突発的なトラブル対応などで日付をまたいで残業することになった場合、さらに朝まで残業して翌日の始業時間を迎えた場合、時間外割増と深夜割増はどのように計算するかわかりますか?

何時までが時間外労働になるのでしょう?IMG_2912

9時始業

18時終業の会社で

翌朝9時まで勤務した場合について考えてみましょう。

法定労働時間は1日8時間、週40時間ですから1時間休憩をはさんでその日の18時までは所定労働時間、その後22時までは時間外労働25%割増賃金、その後22時以降は深夜残業となるため、さらに25%の深夜割増が必要ですね。ここまでは問題ありません。

問題は24時(午前0時)を超えたときです。

日付が変わるので、翌日の労働として考えてしまうかもしれませんが、そうではありません。

日付の上では2日間に渡っていても、労働が連続していれば1回の労働時間とみなされます。つまり24時を超えてもまだ前日の時間外労働の扱いになるということです。

そのため時間外労働の割増賃金25%が必要、また午前5時までは深夜割増25%も必要です。

さらに翌日の始業時間を迎えたら?

では、このまま働き続けて翌日の始業時間を迎えた場合はどうなるのでしょうか。

労働が連続していても、ここからは次の労働日として扱うことになります。ですから、始業時刻以降は時間外割増は必要ありません。

ただし、週40時間を超えている場合は時間外割増が必要になります。