法改定予定一覧

🌸今年の変更予定

9月 労災保険法  複数の勤務先の労災給付を合算して受給可

🌸来年以降の変更予定

令和3年1月   育児介護休業法 子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得

令和3年4月   働き方改革関連法 同一労働同一賃金(中小企業)

令和3年4月   高齢者雇用安定法 70歳までの雇用確保措置(努力義務)

令和3年4月   労働施策総合推進法 中途採用比率の公表を義務化(大企業のみ)

令和4年1月   雇用保険法 65歳以上は複数の勤務先を合計して

20時間以上でも雇用保険加入

令和4年4月  女性活躍・ハラスメント規制法

・パワハラ防止措置の義務化(中小企業)

・一般事業主行動計画の策定及び自社の女性活躍に関する情報公表義務

の対象企業を301人以上 ➡ 101人以上規模へ拡大

令和4年4月   年金改革法

60歳~64歳の在職老齢年金の支給停止基準を28万円 ➡ 47万円へ

令和4年10月   年金改革法

100人超の企業で働く短時間労働者も社会保険加入の対象に

令和5年4月   働き方改革関連法

月60時間超の割増賃金率を25% ➡ 50%に引き上げ(中小企業)

令和6年10月  年金改革法

50人超の企業で働く短時間労働者も社会保険の適用対象に

令和7年4月   高年齢雇用継続給付の上限を15% ➡ 10%に

 

 

今後の法改定予定は上記のとおりです

来年1月には、子の看護休暇および介護休暇の時間単位の取得が義務化されます

社員から「1時間単位で取得したい」と請求があった場合は原則として認めなければなりません

4月からは中小企業についても「同一労働同一賃金」がスタートします(大企業はすでに施行済み)

正社員と非正規社に不合理な待遇さがないかチェックするとともに、待遇についてきちんと説明できるようにしておきましょう

300人超の大企業には、来年4月から中途採用比率の公表が義務づけられます

 

 

身元保証書のルール変わった?

Q. 社員を雇用する場合に、身元保証書を提出させています。

法律が改定されて身元保証書の内容の見直しが必要と聞きました。

具体的になにが変わったのでしょうか?

 

民法の改定により、「賠償額の上限」を定めていくことが必須となっています。上限額を記載していない身元保証書は、その契約書自体が無効になります。

★★身元保証書の目的★★

入社時に「身元保証書」の提出を求める会社は少なくありませんが、身元保証書を提出させる目的はいくつかあります。

 

・損害賠償

雇い入れた社員が会社に対して損害を与えた場合に、社員本人だけでなく身元保証人も連帯して賠償の責任を負ってもらうという目的です。

・職意付け

身元保証人に迷惑をかけるようなことにならないように・・という意識が働き、不始末を抑止する効果が期待できます。

・人物保証

素性や経歴に問題ない社員としてふさわしい人物であることを第三者に確認する意味もあります。

最近では、メンタルヘルス疾患で社員本人との話し合いが難しくなった場合などに、身元保証人に間に入ってもらうといった目的もあるようです。

 

改正法により上限額が必要に

令和2年4月、民法の改正によって「身元保証書」の扱いが変わり、「賠償額の上限」を定めておくことが必須となっています。

金額については法律で定められていないので会社が独自に設定することになります。あまり低い額では意味がありませんし、高すぎると現実味がないうえに、身元保証人になってくれる人を見つけるのが困難になるので金額の設定は難しいところです。

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これまでは、金額の記載がなく、身元保証書は意識付けを行う「形だけの書類」という扱いになっていたかもしれません。家族や親せきも、形だけという認識で快くサインしてくれるケースが多かったでしょう。

今後は、具体的な金額が記載されると、身元保証人を見つけられない社員がでてくることも予想されます。

本当に身元保証書が必要なのか、どこまで賠償を求めるかなど、改めて検討する必要がありそうです。

社会保険路労務士 川﨑美嘉子

失業給付の給付制限期間が2か月に短縮されます

自己都合で退職した場合に設けられている失業給付(正しくは基本手当といいます)の「給付制限期間」が3か月➡2か月に短縮されます。

今年10月1日以降の離職が対象です。

 

失業給付は失業してもすぐに受け取れるわけではありません。まずはハローワークに申請してから1週間は「待機期間」として給付されません。

また自己都合により離職した場合、あるいは刑事事件を起こして懲戒解雇されるなど自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合(いわゆる重責解雇)については、

さらに待機期間満了後3か月間は給付されません。この期間を「給付制限期間」といいます。

しかし、失業しているにもかかわらず長期間給付を受けられない状態では生活に支障が出てしまいます。

そのため、この「給付制限期間」が10月から2か月間に短縮されることになりました。

5年間に2回まで

ただし、給付制限期間が2か月となるのは5年間のうち2回までの離職についてです。

5年間に3回以上離職した場合、3回目以降は給付制限期間が3か月となります。

 

重責解雇の場合はこれまで通り3か月です。

また自己都合退職であっても、病気や家族の介護、配偶者の転勤などせ正当な理由があって退職する場合は給付制限は行われないこともあります。

 

 

年金はどう変わる?

年金改革法が5月29日成立しました。主な改正点をお知らせいたします。

繰り上げ・繰り下げ 

国民年金及び厚生年金は現在、原則65歳に受給開始。繰り下げる場合は最大70歳までとなっていますが、改正後は75歳まで可能となります。一方、受給開始時期を繰り上げる場合、最大60歳までと言う点はこれまでと変わりません。ただし、1か月繰り上げることに減額される率は0.5%➡0.4%に縮小されます。

在職老齢年金の緩和

厚生年金に加入して働きながら年金を受ける場合、月収と厚生年金の合計が基準額を超えると年金の減額調整が行われる「在職老齢年金」という仕組みがあります。

 この基準値が、60歳~64歳の場合28万円➡47万円に緩和されます。これにより減額される人は大幅に減る見込みです。

パートタイマーの厚生年金を拡大

一定期間を満たす短時間労働者が厚生年金に加入するのは現在500人超の企業のみとなっていますが、これが100人超、さらに50人超の企業に拡大されます。

※その他、個人型確定拠出年金(イデコ)に関する規制が緩和され加入しやすくなります。

 

☆~☆公的年金の主な改正点-☆~☆

令和4年4月~

・繰り下げできる年齢を最大70歳➡75歳に

・繰り下げの減額率が0.5%➡0.4%に

・65歳以降も厚生年金に加入なら在職中でも年金額を毎年改定

令和4年10月~

・100人超の企業で働くパートタイマーも厚生年金の適用対象に

令和6年10月~

・50人超の企業で働くパートタイマーも厚生年金の適用対象に

厚生年金保険料率は変わらず

算定基礎届により9月~社会保険料が変わります

☆☆標準報酬月額が新しく☆☆

社会保険に加入している事業所は毎年7月に算定基礎届を提出します

9月~その結果が反映され、厚生年金及び健康保険の標準報酬月額が新たに設定されたものに変わります

標準報酬月額とは、各人の保険料を算定するために硬便的に設定された保険料のランクで、傷病手当金や出産手当金などの給付を行う際も、この標準報酬月額をベースに計算していきます

~~厚生年金保険料率は変わらず~~

厚生年金保険料率は、平成16年から毎年0.354%ずつ引き上げられてきましたが

前々回(平成29年9月)を最後に引き上げが終了し、以降は18.3%に固定されています

そのため今回、厚生年金の保険料率は前年と変わりません

 

 

 

~~標準報酬月額の等級を追加~~

厚生年金の標準報酬月額の上限は現在「62万円」が上限となっていますが、今年9月からもう一つ等級が追加され「65万円」が上限となる予定です

☆☆☆☆☆☆     ☆☆☆☆☆

算定基礎届による標準報酬月額の変更は、9月(10月納付分)から適用されます

給与計算時にはご注意ください~☆

新型コロナ感染は労災の対象になる?

厚生労働省は4月28日、新型コロナウイルス感染症の労災補償における取り扱いについて通達を出しました。

労災と認められるためには、ウイルス感染が業務に起因したと認められる必要があります。

厚生労働省は、新型コロナウイルスの特性にかんがみた適切な対応が必要だとして、当分の間、

『調査により感染経路が特定されなくても、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められる場合には労災の対象とする。』としています。

 

★医療従事者が感染した場合★

具体的な取り扱いも示しています。

例えば国内の場合、医療従事者や、感染経路が特定されていて感染源が業務に内在していたことが明確な場合は、原則として労災給付の対象となります。

★感染リスクが高い環境とは★

感染リスクが相対的に高い次の①②のような環境で働いていた人が感染したときは、

業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断するとしています。

①複数の感染者が確認された環境での業務

②顧客等との接近や接触の機会が多い環境での業務

ハラスメント規正法が始まります

どこまでが指導で、どこからがパワハラ?

職場のハラスメント対策の強化を柱とした「女性活躍・ハラスメント規制法」が昨年5月に参議院で可決・成立しました。

たくさんの改正点がありますが、中でも注目されているのはパワハラ防止措置の義務化を定めた「ハラスメント対策の強化」です。

 

◆◆◆パワハラの定義◆◆◆

職場のパワーハラスメントとは、次のように定義されています。

同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や人間関係など含む職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為。

具体的にどういった行為がパワハラに該当するのか、厚生労働省が示している「パワハラの類型」と過去の裁判例を見ていきましよう。

◆◆◆パワハラの6類型◆◆◆

パワハラの6類型

①身体的な攻撃

②精神的な攻撃

③人間関係からの切り離し

④過大な要求

⑤個の侵害

パワハラは上記のとおり、6つの類型に分類されています。

もちろん、パワハラに当たりうるすべてを網羅したものではなく、

これら以外は問題ないというものではありませんが、少なくともこれらに該当する

行為は避けるべきといえます。

◇◇◇裁判例◇◇◇

    上司が部下に対し「やる気がないなら会社を辞めるべきだと思います」などど、書いたメールをAとその職場の同僚十数名に送信した。退職勧告とも受け取られる表現が盛込まれているほか、「あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。あなたの仕事なら業務職でも数倍の業績をあげますよ」「これ以上、職場に迷惑をかけないでください。」と侮辱的な記載もあった。

 指導・叱咤激励の表現として許容される限度を逸脱したものと判断 し賠償金の支払を命じた。

◇◇◇裁判例◇◇◇

   10年ほど勤務したパートタイマーBらが、契約期間満了により雇い止めされ、地位保全の仮処分を申請。会社側と和解して職場復帰したものの、会社はBらに門の開閉、草取り、床磨きなどの業務をさせて、これまで従事していた業務をさせなかった。

 なお、以前は門は開けっ放しにされており、床磨きは、その部署の従業員が必要に応じてやっていた。Bらにだけこのような雑務をやらせなければならない合理的な理由も無く、見せしめのために雑務をさせたとして判断。

慰謝料の請求を認めた。

◆◆◆会社の責任が問われる◆◆◆ 

  裁判例からもわかるように、パワハラをした人だけでなく会社の責任が認められ、会社も損害賠償を支払うよう命じられるケースも目立ちます。

パワハラに対して会社が見て見ぬふりをしたり、パワハラの相談に来た社員に対しさらに攻撃を加えるなどといった対応はもってのほかです。

さまざまな防止措置を講じていたにもかかわらず起きてしまったパワハラと、防止策を講じていなかったケースでは会社の責任に違いが生じてきます。

パワハラはした人とされた人だけの問題ではありません。パワハラがおこなわれている職場で働く社員全体に大きな影響があるということを知っておきたいところです。

社会保険労務士 川﨑美嘉子

法改正予定一覧

 法改正予定一覧 (今後の変更予定)

2020.4月 働き方改革関連法  ・残業時間の上限規制(中小企業)
2020.4月 女性活躍・ハラスメント規制法 ・パワハラ防止措置の義務化(大企業のみ)
2020.4月 健康推進法 ・オフィス、大型飲食店などは原則屋内禁煙(喫煙専用室のみ可)
2020.4月 職業安定法 ・従業員募集時に職場の受動喫煙防止策を明示
2020.4月 労働保険徴収法 ・64歳以上の被保険者について雇用保険料の免除措置を廃止
2021.4月 働き方改革関連法 ・同一労働同一賃金(中小企業)
2022.4月 女性活躍・ハラスメント規制法 ・パワハラ防止措置の義務化(中小業)・一般事業主行動計画の策定・公表の対象企業301人以上 ⇒ 101人以上
2023.4月 働き方改革関連法 ・月60時間超の割増賃金率を25 ⇒ 50%に引上げ(中小企業)

 

外国人に支払う給与から源泉徴収する?

外国人を雇用する会社は、給与を支払う際に、所得税を控除することになります。日本人に給与を支払う場合との違いをついてみていきましょう。

◆◆「居住者」か「非居住者」か◆◆

   外国人に給与を支払う際は、源泉所得税(所得税と復興特別税)を控除しなければなりません。ただし、その方法は外国人が「居住者」なのか「非居住者」なのかによって異なります。

「居住者」の場合には、日本人と同様に所得税の源泉徴収税額表を用いて、該当する額の源泉所得税を徴収します。また年末調整により年税額を調整することもできます。

「非居住者」の場合には、原則として、20.42%の税率で源泉徴収を行い年末調整はしません。

この居住者と非居住者の違いですが、居住者とは、国内に住所があるか、または、現在まで引き続いて1年以上居所がある個人をいいます。

住所とは、「生活の本拠」のことをいい、居所とは、「生活の本拠というほどには至らないが、個人が現実に住んでいる場所」をいいます。

一般に、会社に勤務している人は住所を有する「居住者」と考えて良いようです。逆に、「非居住者」になるのは、日本の会社から給与を受けながら、海外で活動するケースのようです。

◆◆住民税もかかる◆◆

住民税は、国籍にかかわらず市町村に住所がある個人に課税されます。住所があるかどうかは、その年の1月1日で判断します。非居住者については、当然、住所を有さないため住民税は課税されません。また、住民税は前年の所得によって課税されるため、日本に入国したばかりの外国人は住民税がかかっていません。

社会保険労務士 川﨑美嘉子

「喫煙者は採用しない」は就職差別?

 「喫煙者は採用しない」は就職差別?   

社員の健康のためにも、在籍している喫煙者の社員については禁煙を支援し、喫煙者は採用しないように考えています。採用についてこのような制限を設けることは問題ないでしょうか。

「喫煙者は採用しない」と掲げることは問題ありませんが、プライベートでの喫煙が発覚した場合に強硬な対応をとることは控えたほうがよいでしょう。IMG_5398

 

◆◆就職差別になる?◆◆

   事業所には「採用の自由」が広く認められています。どのような人を雇うかは原則として自由です。

ただし、何もかも自由ではなく法律によって制限されているものもあります。性別や年齢による差別、障害者差別などです。

このほか、法律で禁止されているわけではありませんが、厚生労働省が「就職差別の恐れがある」として把握すること事態を控えるよう求めている事項もあります。

※把握するのを控えるべき事項

□本人に責任のない事項  出生地、家族に関すること、住宅環境、家庭環境など

□思想信条にかかわること 宗教、支持政党、労働組合に関すること、購読新聞など

 

◆◆喫煙が発覚したら?◆◆

喫煙者でないことを確認して採用したにもかかわらず、実はプライベートで喫煙していることが発覚した場合、内定を取り消すことはできるのでしょうか?

採用条件として認識していたのに喫煙者であることを隠していたのですから「虚偽の申告」とも考えられますが、私生活上のことであるため、内定の取り消しが認められるのは難しいと思います。

 

◆◆入社後も喫煙しないことを約束させることは?◆◆ IMG_5394

では、入社後も喫煙させないために誓約書を書かせることはできるでしょうか?

入社時に「喫煙しない」と誓約書に書かせることは違法ではありません。ただし、誓約書の内容が守られなかったとしても、解雇や減給など懲戒処分を行うのはやりすぎです。禁煙の職場でタバコを吸ったならともかく、プライベートにおける喫煙にまで懲戒処分を行うことは問題があるでしょう。 

      

◆◆行き過ぎない範囲で◆◆

 「喫煙者は採用しない」とする会社は近年増えています。

たいていは申告ベースで入社後に喫煙がわかっても処分はしないなど慎重な対応になっています。プライベートな時間の喫煙に対してまで、あまり強硬な対応をとるとトラブルに発展する恐れがあるので注意が必要です。

~情報源~  雇用保険に関する業務取扱要綱  (令和元年5月1日以降) 厚生労働省

社会保険労務士 川﨑美嘉子