年休の変更を求めてもよいのはどんなとき?

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こんにちは。スタッフの岩本です。

本日は、従業員の年休の変更を求める場合の「時季変更権」についてご紹介いたします。

※年次有給休暇(以下「年休」)は、労働者の心身の疲労回復などを目的に、労働基準法で定められている休暇です。

 

Q.従業員から年休の届出がありましたが、その日は大事な業務を予定しています。別の日に変更を求めてもよいでしょうか?

 

A.一定の場合に年休の取得日を変更するよう求めることはできますが、まずは、代替要員がいないかなど、できる限り本人の希望日に取得できるよう配慮しなければなりません。

時季指定権と時季変更権
年休は原則として労働者の請求する時季に与えなければならないとされています(労働者の時季指定権)。一方で使用者には請求された時季に年休を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」は、他の時季に与えることができます。これを「時季変更権」と言います。
時季変更権の行使について、使用者にはできる限り労働者が指定した時季に休暇がとれるように配慮すべきとされていて、配慮せずに変更させることは認められません。使用者に求められる配慮とは、例えば代替要員の確保などです。

「事業の正常な運営を妨げる場合」とは
使用者が年休の時季変更権を行使できる例としては、「年末の特に繁忙な時季」や「同一時期に多数の年休請求が重なったとき」などが考えられます。事業の規模、内容、その労働者の担当する作業内容・性質、繁閑、代行者の配置の難しさ、そのほかの事情により判断するべきと、裁判例で示されています(判例①、②)。

どのように変更するか
年休の取得時季を求める場合、具体的な日付を指定することまでは必要ありません。年休の取得に問題ないであろう時季を通知する程度で構いません。
また、変更の必要な事由が無くなったときは、速やかに年休を与えなければなりません。

退職日直前の時季変更は
退職日前に残った年休をまとめて消化するということがあります。このような場合に、業務の引き継ぎなどの問題でトラブルになることがあります。
この場合の年休の時季を変更できるかというと、所定労働日ではない退職日の後にまで年休時季を変更させることはできないとされています。

裁判例①
技術者に高度な知識・技術を修得させるため各職場代表者に短期の訓練を実施した際、その期間中に参加者が請求した年休
⇒参加者が訓練の一部でも欠席することは予定された知識・技能の習得に不足を生じさせ訓練目的を十分に達成できないことから、時季変更権が認められた。

裁判例②
約1カ月の長期かつ連続した年休の請求に対し、後半2週間について時季変更権を行使した
⇒対象労働者の職務が専門的知識経験を必要とし、代替し得る者を長期に確保することが困難だったため、認められた。

各会社様、日常的に忙しい会社も多いこととは思いますが、年休の時季を変更させることができるのは特別なときと考えなければなりません。
労働者に業務の責任感を求めるのは当然ですが、使用者には休暇をとれる環境づくりが求められています。

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