外国人を雇用するとき、ありがちなのが社会保険への加入問題です。日本国内の適用事業所で働く労働者は、国籍にかかわらず、原則として厚生年金・健康保険に加入する義務がありますが、本人が加入したがないなどの理由から手続きが進まないということがあります。こういう場合は制度をよく説明し、納得してもらう必要があります。
◆◆脱退一時金がある◆◆
将来、日本にいければ年金がもらえないと思っている人がいますが、年金は海外でも受給できます。現在は、受給資格期間(被保険者であった期間など)が10年あれば老齢年金がもらえます。以前(25年)より非常に受給しやすくなりました。
また、短期で出国したときは一時金でもらえる場合があります。日本国籍を持たない人が厚生年金の被保険者資格を喪失して日本を出国した場合、2年以内に脱退一時金を請求することができます。支給要件は次の通りです。
①厚生年金の加入期間の合計が6ヶ月以上あること
②日本国籍を有していないこと
③老齢厚生年金などの受給権を満たしていないこと
外国人の社会保険の手続きで特徴的なのが「ローマ字氏名届」です。外国人の名前はミドルネームの記載の有無や、「デビット」「デービット」などカタカナ表記にばらつきがあるといった事情から同一人物の判断が難しいため、在留カードに記載されたアルファベットの氏名をそのまま登録します。(新たに入国した人などマイナンバーと基礎年金番号が結びつかない人が対象)
扶養者の手続にも注意が必要です。家族を本国に残してきた場合に、これまでは仕送り状況などにより被扶養者とすることもできましたが、現在国会に改正法案が提出されており、原則として国内に住所があることが要件になる見込みです。
脱退一時金の額 被保険者であった期間の平均標準報酬額※1 × 支給率※2 ※1 AとBの合算額を、被保険者期間全体の月数で除して得た額 A:平成15年4月より前の被保険者期間の標準報酬月額に1.3を乗じた額 B:平成15年4月以降の被保険者期間の標準報酬月額および標準賞与額を合算した額 ※2 最終月額の保険料率に2分の1を乗じた表の数を掛けたもの
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