社員間のお金の貸し借り


社内で同僚や部下から借金をしているものがいます。

返してもらえなくて困っていると会社に相談がありました。

社員間のお金の貸し借りを禁止したり、懲戒処分を行うことは可能でしょうか。

 

 

トラブル防止のために、就業規則で社員間の金銭の貸し借りを禁止しておくことは可能です。

貸し借りをしたという事だけで、懲戒処分の対象とすることは難しいですが、貸し借りが原因でトラブルが発生し、会社秩序を乱すような事態になった場合は懲戒処分を行うことは可能です。

 

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社員間のお金の貸し借りは、立場上、断わりづらい、もし返済が滞った場合にトラブルになるなど、人間関係を壊す原因となり得るものです。職場秩序を乱す恐れがあるため、会社としては阻止したいところです。

 

☆☆懲戒処分の対象になるか☆☆

過去の裁判例では、企業には企業秩序を維持する権限があり、企業秩序を維持確保するために必要な事項を就業規則等に定めたり、労働者に指示することができるとしています。

また、これに違反する行為があった場合には、就業規則に定めるところに従い懲戒処分を行うことも可能です。

 

☆☆私生活上の行為まで制限できない☆☆

ただし、会社秩序を乱す恐れがあっても業務と関係のない私生活の行為まで禁止懲戒処分の対処にすることはできません。

ご質問の社員間のお金の貸し借りは、貸し借りの場所が社内であっても、業務とは関係のない私生活上の行為です。そのため、お金の貸し借りをしたことだけで仲介処分を行うことは認められないでしょう。

 

☆☆トラブルになった場合は☆☆

会社秩序を「乱す恐れがある」だけでなく、実際に企業秩序「乱した」のであれば、懲戒処分が可能と考えられます。

例えば、お金の貸し借りが原因で実際にトラブルが発生し、事業の円滑な運営を妨げるような事態になった場合などです。

今回のご質問のケースは、「返してもらえなくて困っている」と会社に相談があったほどですから、事業の円滑な運営が妨げられているとと考えられます。

☆☆思い懲戒処分は避けるべき☆☆

事業の円滑な運営を妨げ、会社秩序を乱した始末書の提出など、懲戒処分を検討しても良いでしょう。

ただし、よほど大きなトラブルでない限りは、懲戒解雇などせの思い処分は避けるべきです。行為に対してあまり重い処分は懲戒権の濫用と判断される恐れがあるからです。

懲戒処分を行うには、その根拠としてあらかじめ就業規則にその種類と程度を明記しておく必要があります。

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