Q.毎月1,000円の親睦会費を社員の給与から天引きしています。
ある社員から「同意もなく天引きするのは違法ではないか」と指摘されました。
一人ひとり同意を得なければならないのでしょうか。
A.労使協定と就業規則が整っていれば、親睦会費の天引きに個別の同意は不要です。
ただし、トラブル防止のために同意を得る運用をしている会社もあります。
労働基準法に定められた「賃金の全額支払いの原則」により、原則として会社が労働者の給与から勝手に天引きすることはできません。
ただし、以下のものについては差し引くことが認められています。
◆税金や社会保険料など法律で決められたもの
◆労使協定を締結+就業規則に規定
親睦会費のような費用については、②にあたるものであり、労使協定を締結し、就業規則に明記していれば給与からの天引きが可能です。
ここでいう労使協定とは、「賃金控除に関する労使協定」のことを指します。
この協定書は労働基準監督署への届出は不要です。
協定があればなんでも天引き可能?
労使協定を結んでいればなんでも控除してよいわけではありません。
その控除の内容が、誰が見ても理由が明らかな場合にのみ、労使協定を締結して控除できることになっています。
会社が立て替えている費用や、社宅の家賃、社内食堂の昼食代など、労働者も負担するのが当然と思われるものでも、
労使協定がなければ給与から天引きすることは違法になります。
そもそもこうした労使協定が必要であることを知らない事業主も多く、行政も注意喚起をおこなっている状況です。
個別の同意は必要ない?
ご質問では「一人ひとり同意を得なければならないか」とのことですが、就業規則に賃金控除の規定があり、
その内容が労働者に周知されていれば、労働者はそのルールを受け入れて働いていると解釈されます。
つまり、個別に同意を取っていなくても、全体として同意しているとみなされる、というのが法的な考え方です。
法律上は、労使協定が結ばれ、就業規則にも規定されていれば、個別の同意までは必要とされていません。
ただし、これはあくまで法律上の解釈であり、実際の運用ではトラブル防止の観点から、
あらかじめ本人に説明をおこない、同意を得ておくという対応をとる企業も多く見られます。
また、親睦会費の天引きを新たに始めるといったケースでは、労働条件の不利益変更と判断される可能性があるため、
原則として社員一人ひとりの個別同意を得ておくことが望ましいでしょう。