身元保証書のルール変わった?


Q. 社員を雇用する場合に、身元保証書を提出させています。

法律が改定されて身元保証書の内容の見直しが必要と聞きました。

具体的になにが変わったのでしょうか?

 

民法の改定により、「賠償額の上限」を定めていくことが必須となっています。上限額を記載していない身元保証書は、その契約書自体が無効になります。

★★身元保証書の目的★★

入社時に「身元保証書」の提出を求める会社は少なくありませんが、身元保証書を提出させる目的はいくつかあります。

 

・損害賠償

雇い入れた社員が会社に対して損害を与えた場合に、社員本人だけでなく身元保証人も連帯して賠償の責任を負ってもらうという目的です。

・職意付け

身元保証人に迷惑をかけるようなことにならないように・・という意識が働き、不始末を抑止する効果が期待できます。

・人物保証

素性や経歴に問題ない社員としてふさわしい人物であることを第三者に確認する意味もあります。

最近では、メンタルヘルス疾患で社員本人との話し合いが難しくなった場合などに、身元保証人に間に入ってもらうといった目的もあるようです。

 

改正法により上限額が必要に

令和2年4月、民法の改正によって「身元保証書」の扱いが変わり、「賠償額の上限」を定めておくことが必須となっています。

金額については法律で定められていないので会社が独自に設定することになります。あまり低い額では意味がありませんし、高すぎると現実味がないうえに、身元保証人になってくれる人を見つけるのが困難になるので金額の設定は難しいところです。

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これまでは、金額の記載がなく、身元保証書は意識付けを行う「形だけの書類」という扱いになっていたかもしれません。家族や親せきも、形だけという認識で快くサインしてくれるケースが多かったでしょう。

今後は、具体的な金額が記載されると、身元保証人を見つけられない社員がでてくることも予想されます。

本当に身元保証書が必要なのか、どこまで賠償を求めるかなど、改めて検討する必要がありそうです。

社会保険路労務士 川﨑美嘉子

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